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以前からやってみたかったが自ら持ち出す度胸もなく、適当な場所も知らない。
そして案ができた時、無理やりメンバーに加えてもらった。
教本も購入して予備知識を蓄えた、ピッケル−本で試すつもりだったがダブルアックスでとGRIVEL製の格安ものを購入し、帰りの電車では袋の中の品物をチラチラ眺めニタニタしていた、嬉しかった。
もう馴染みとなった藤内、今日はアイスクライミングにやってきた。
藤内小屋泊り、確か一泊・2食付5千円ほどと驚くほど安い、しかも最近増築していて未だ木の香りが部屋中に満ちている。
一夜明け3ルンゼ藤内沢を目指し歩き始める。
アイゼンをつけた足が重く馴染むまで少しかかったが､雪を踏み固める音、クランポンやアックスのあたる金属音が林に冴え気分がいい､こういった感触が冬山のロマン、好きだ。
藤内滝の左脇をつたい抜け滝の上部に出る、ここから奥又へはまだ約1時間ほどかかる。
傾斜もきつくなり四つん這いで3ルンゼを進む。
右に鋸岩が見えてくると氷壁は近い、気温も低く（確か氷点下5°位)樹氷が椅麗だった。
そして稜線間近いところに幅約5ｍ高さ10ｍほどの氷爆が広がる。
規模はさほど大きくないが、見るとやるとでは大変違う。
ビレイの足元を見れば血が点在している、どうやら先行者に誰か氷にでも当たった人がいたようである。
あたりには大小の氷塊が散らばっていた、ルート整備の後がうかがえる、けっこう危ないんだ、アイスクライミングはいつも初登なのだ。
石川さんが左の緩めの斜面から上り上部テラス奥の立木からトップロープを張ってくれる、皆一安心で順番に遊び始める。
とにかく私などはド素人､想像だけで登るようなもので技術など全くない、氷の色（質）の見分け、アックスの振るい方．抜き方、アイゼンワークなどブッツケ本番である、でもイケルかなと？？
機会の少ないアイスロック、短い時間でもなんとかできることはやっておきたかった。
石川さんパワーと度胸で、 三木さん落ち着いて氷を削り、 馬場さん力抜いて軽やかに登筆を繰り返す。 「オォ！ 抜けない！ ヤバイ！割れた！ 取れた、 ヒエ〜・・・」てな具合で4人4様の登攀姿、アイスは愉快だった。
山ギャル二名（好みではない、相手もそう思っている）と男がやってきたので場所を譲り帰る。
御在所岳頂上、この季節はスキー場遊園地となり、多くの家族連れ、若い女性、アベック達で賑わっている。
長年かよいつめた馬場さん､はじめて御在所岳の頂上に立ち感動(？）しているが、とてもクライミングとはかけ離れた情景がむなしい。
一人の小さな少年が私の傍らを寄り添いアイゼンを装着した足元を不思議そうに眺めていた。
『少年よ、これが硬派、おまえもするのやで男やったら、Boysbeambitious1』と胸の中でそっと呼びかける。
ああ〜悲しいなぁ、裏道登山道を下山する足取りは重く気分も少しブルーになる。
途中、あの滝この氷と観察しながら進む。
1ルンゼの3段氷爆が見えてきた、オオォ！ 登っているではないかぁ！ 上級者コース！ イェイ！ 羨望の眼差しでクライマー達を目で追う、ここから何百メートルかは離れているけど凝視し続けていると細かい動作も見てとれる。
『アックス入れた、スクリュウねじて、ロープ駆けた0K、 あっ！ テンションやった、 怖え〜、怖いねえ、あそこが核心なんだ。よく止まったなぁ、乗越しが大変そうやねえ（フォローも落ちた)』、一人つぶやいていた。
明日は帰るが早起きして「その下部へ偵察に行きましょう」と石川さんと約束する、なにぶん私たちにはあそこを登るギアがない。
小屋では暖かいご馳走があり､早々と就寝に向かった3名とは別に一人で準備をしながら飲んでいました、こういう時間も私は好きなのです。
ところが宿泊客の方に｢一人で飲んでないでこっちに来なさい・・・」と誘われた結果、泥酔状態に陥り、挙句の果てには廊下で転び暗闇の中をベッドに入りいびきをかいて翌朝最も遅く目覚めることになる。
陽が昇り石川さんはすでに偵察に出かけ､三木さん馬場さんは談話室で帰りの準備､わたしは遅い朝食をとりに食堂へ、小屋の女将さんに「みなさん既に済まされました、夕べはだいぶ酔っておられたようで、これでもどうぞ｡」と二日酔いによく効くというオクラ納豆を一品おまけによばれる。
アイタ！ またもや関係各位にご迷惑をおかけしました。
次回はギアを増やし､氷が張れば直ぐにでもやって来るつもりで藤内を出る。
このレポを見ていただく頃には、また氷の季節が近い頃でしょう。
この度の思い出とともに、もう少し挑戦的なアイスクライミングで再び氷に取り付こうと思っています。
後に一言、登るならブルーアイスですよ・・・学習しました。
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